燃え尽きたクレオパトラ

3月の魔笛終了から、半年以上かけてドイツと日本で準備をした「ジュリアス・シーザー」が終了しました。
上演時間4時間は長いなーと思っていましたが、終わってみるとあっという間でした。
約1000人のお客様とキャスト、スタッフに支えられ、なんとか最後まで歌いきることが出来、ほっとしています。ありがとうございました。

それでは写真と共に、一体何を考えながら歌っていたのかとか、楽屋での出来事、打ち上げの状況なんかを報告しようと思います!!今日も長い日記になるかも知れませんが最期までお付き合い下さいね。

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熟睡でも寝不足でもない、イマイチ寝たり無いかなという目覚め。本番前だったからちょっと緊張していたのかも知れない。
家で発声をしてみると、これまたイマイチの感触。ふーーむ・・・まぁ、焦らず、すべての状況を受け入れようと、一葉茶(胃腸に良いお茶)を一杯飲んで落ち着いた。
外は曇り空。一応傘を持って、会場へ向かう。

d0047297_1683760.jpg楽屋は3人部屋。
一人は異常にテンションが高く元気がよかったが、私を含む残り二人はちょっとどんよりムード。
なかなかテンションが上がらない。むむむ・・・これはどうしたものか!!
駅のコンビニで仕入れたバナナと、甘いお菓子を食べて、エネルギーチャージ終了。
床山さんとメイクさんから「クレオパトラさんどうぞ!」とお声がかかり、30分かけてエジプトの美女っぽく変身。
このあたりからちょっとずつ元気になり始めた。
赤い衣裳に合わせて、手足の指にも赤いマニキュアを塗る。
す・す・すごい爪になった・・・。
ゴージャスというか何と言うか。

そうこうするうちに開演15分前に。弥が上にも緊張が高まる。
後で助演の子たちから聞いた話しだが、開演前や公演中の私の周りにはピキピキに緊張が張り詰めていて、近づこうにも近寄れなかったとか。気軽に写真に応じられなくて申し訳なったけど、今回はリラックスするというよりは、集中して力尽きるという感覚だった。

マエストロ入場で会場から大きな拍手。その頃私は楽屋でお守りを握り締めていた。一つは湯島天満宮の学業守、もう一つは魔笛の時に頂いた月桂樹の葉。これらのお陰で少し落ち着いた。
オペラは快調に進んでいる。キャストの皆もGPより調子がいい!!
私はというと、GPよりも心臓はバクバクしなかったけど、緊張で手が冷たい。落ち着かず舞台袖を座ったり立ったりうろうろしたり・・・。まぁ、これはいつものこと。
舞台転換が終わり、いざ出陣!!
1幕は舞台の雰囲気に慣れるだけで終わってしまった。朝の不調がまだ戻らず、消化不良の出来。
休憩で緑色の衣裳を写真に撮る予定だったが、モヤモヤした気分を振り払うのが精一杯で、すっかり忘れて衣裳変えしてしまった。
モヤモヤを振り切ろうと一人楽屋でじっとしていたら、地震が!!!15番のアリアを歌っていたゆきえちゃんは「この地震でお客さんが帰っちゃったらさみしーなー」とか考えて歌っていたらしい。私は地震が怖いので、舞台上にいなくて本当によかった。

2幕は3曲のアリアを歌わなければならない。しかも舞台上でのマントの着替えがあり、助演の子たちと協力しあい、かなり冷静になって乗り越えなくてはならない幕だった。
まずはふわふわスケスケの衣裳と色っぽい音楽でシーザーを魅了。シーザー役のゆきえちゃんがものすごく良い笑顔で私を見てくれたので、勇気付けられた。
楽屋へ戻り、白い衣裳に着替える。またもやスケスケの写真を撮ることを忘れてしまった・・・。ここでUPできないのが残念。
楽屋で着替えの復習をしてから舞台へ。天蓋がねじれるアクシデントもあったが、みんな慌てず対処してくれた。入浴シーンのアリアは不安定な体勢で歌う箇所が多い。マエストロがテンポを落としてくれたお陰で落ち着いて歌えた。でも立ち上がる時にスカートの裾を踏んでモゴモゴしてしまった・・・。クレオパトラとしたことが!
しかしその後のマントの着替えはスムーズに出来、とうとう長い2幕最後のアリアへ。
前半は私が歌いたいようにすべてをあわせてくれていたマエストロだったが、後半は彼の音楽が溢れてきたのが、「こうしたい!」っていうアプローチが見えて、また私も「それに同感!!」ってな感じで、マエストロの音楽にのせられて、精魂使い果たして歌いきったと思う。もう足はふらふら、呼吸は乱れ、頭ボー然・・・。まるでマエストロに魂抜かれたみたい。よって白い衣裳も撮影不可能だった。

d0047297_175222.jpg魂が戻ってくるのに時間がかかったけど、無事衣裳撮影。
クレオパトラのカラーである赤のワンピース。
ライトがあたるとより鮮やかに見える赤色だった。

3幕はまず弟との戦闘シーンから始まる。
魂が戻ったけど、体力は限界で、ほとんど気合だけで舞台に立っていた。
これまた後で聞いた話だが、一緒に戦う助演の方が「よろしくお願いしますって声をかけたかったんだけど、スキがなくって・・・かなり気合入れてましたね」とのこと。
ほんと、気合入れてました!

弟に負けて捕まって鎖に縛られてムチで叩かれるというプライドをズタボロにされるシーン。
一生懸命にムチに反応していたら、左肩のストラップがずれて落ちてきてしまった。
さてどうしたものか。両手は一応鎖につながれている。
このままずり落ちたままでアリアを歌うのも悲惨さが出ていいかも知れないけど、みっともないかもな・・・などといろいろ考えた挙句、そっと指で直した。
そしたら鎖がちょっと解けてしまった(焦)・・・。

鎖に巻かれたまま歌うアリア"Piangero`"は「ジュリアス・シーザー」の中で一番有名といっても過言でない曲。立ち稽古に入るまでは、レチタティーヴォから悔しい思いをむせび泣きたいと思っていたが、演出家もマエストロも「ムチで打たれて力尽き、トツトツと歌って欲しい」との要望があり、なかなか気持ちが切り替わらなかったが、オケ合わせあたりからやっと雰囲気を掴むことができた。
舞台上でクレオパトラを見張る助演の子からは「可哀想で助けてあげたくなった」と感想を言ってもらえたし、歌の先生からもよかったとお褒めの言葉を頂けた。うれしい~~~!!

最後39番のアリアはシーザーに助けてもらって、ドッカーンと喜ぶ超絶技巧の曲。これは正直エネルギー切れだった。気合だけでは歌いこなせなかった・・・うーー、悔しい!

そしてとうとう最後の結婚式。39番と結婚式の間はたったの5分。その間に4人掛かりで衣裳を着替え、髪型を整え、メイクをしなおし、アクセサリーを付け替えた。
シーザーのゆきえちゃんとは学部時代から何度もいろんな二重唱を歌っている仲。信頼関係に支えられ、最後まで歌いきることができた。ありがとうね!
結婚式ということで、一番最後にライスシャワーのシーンがあったが、クレオパトラの侍女を演じてくれた子達は「姫、本当に良かったね、おめでとうって気持ちになって、自然と笑顔になったし、涙が出ました」と言ってくれた。約2ヶ月よく仕えてくれた!ありがとう!!

カーテンコールはふらふらで、転ばないようにゆっくりのしのし歩いた。温かい拍手は、クレオパトラに沢山美しいアリアを作曲してくれたヘンデルと、その音楽を素晴らしく導いてくれたマエストロと、心をこめて演奏してくれたオケのメンバー、そして美しく見えるように演出してくださった平尾先生のお陰でいただけたと思う。ありがとうございました。
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d0047297_18101752.jpg公演終了後、合唱の子達と記念撮影。
残念ながら私のカメラにはこの1枚しか写っていませんでした・・・。

ここからは打ち上げ!
                 
d0047297_18145649.jpgこれだーーれだ? 
d0047297_18154983.jpgチェンバロとオルガン担当の大塚さん。

d0047297_18172216.jpgサジを投げずに指導してくれたネモトくん。
d0047297_18174438.jpgチェンバロ担当のユウジンくん。

d0047297_18203547.jpg海外からわざわざいらしてくださり、今回素敵な演奏をしてくださった3名。
リュートのノイリさん(オランダ在住)
とっても貴重な人材!ルネ・ヤーコプスからの信頼も厚い。
人柄が温かく、笑顔が素敵な人です。

チェロのアンチェ(ベルリン在住)



d0047297_18205397.jpg秀美さんのお弟子さんだとか。
ベルリン古楽アカデミーのメンバー。
気さくな女性でした。

ハープのマルタ(イタリア在住)
今回唯一のイタリア人なので、発音を教えてもらいました。
おとなしい女性。

ここからは二期会公演デビューメンバーを一気に紹介。

もろちゃん                           大井君
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みゆきさん                           ゆみさん
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今井さん                            
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d0047297_1832467.jpg最後は演出家、平尾先生
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by mihokohoshi | 2005-10-17 16:10 | 演奏会報告